Q.インターンをする以前で学生時代、特に力を入れた活動や将来ビジョンにつながるきっかけとなった経験を教えてください。
大学2年次に参加したタイのスタディーツアーが国際協力の分野に興味を持ったきっかけです。
それまで途上国に行った経験はなく、途上国の人たちの多くは貧困で苦しんでいてかわいそうというイメージを持っていました。実際に訪れてみると、電気がない家や、フローリングではなく土が床の代わりをしている家が多くある中、みんないつも笑顔で楽しそうに生活していました。
そこで一番印象深いことは、人と人との絆がかなり強いと感じました。そのときに自分もこんな暮らしをしたい、繋がっていたいと感じまじた。しかし、農村部に住む若者が家族の生活を支える為に出稼ぎ労働者として都市へ行きますが、山地民という理由で不当に差別され、売春婦等の低賃金で苛酷な労働に甘んじる状況を知りました。そのような状況を改善するための仕組みを作りたいと思うようになり、海外で活動している様々な日系NGOに参加することで経験を積みました。
Q.どういう問題意識や将来ビジョンを持ち、どのような就職活動をしましたか?
上記のような問題を解決したいと思い、自分に出来る事を見つけるために開発学の歴史ある英国の大学院にて農村地方の開発について学ぶことを決めました。しかし、過去に行われてきた開発の方法を学ぶ中で国連や援助機関による、与えるだけに重点を置いた支援だけでは限界がある事に気付きました。そこで、農村部に住む人々が付加価値を生んで収入を稼げるようなビジネスをしたいと思うようになり、途上国にて農産物や商材の生産や取引してるような企業を軸に就職活動をしていました。
興和株式会社では様々な商材をアジアや南米の国々から仕入れ、現地と日本に貢献するようなビジネスモデルを実際に確立していました。そこで、商社営業職という部門でそのようなビジネスモデルを身をもって体感し、売るべき商材をメーカーに売るスキルを得たいと思いました。そして近い将来、価値のある商材を見つけて売ることで途上国現地と日本に貢献できるビジネスモデルを構築したいと考えています。
Q.内定後の過ごし方として、数あるチャンス選択肢の中からなぜインターンをしようと思ったのですか?
インターンという選択肢に絞ったのは、企業に入る前に他の組織構造を見ることでより広い視野を持って就職先で働けると思ったからです。また、海外を選択したのは途上国の農村部と日本の双方に貢献できるビジネスモデルを構築するためにはカンボジアの現地の活動に直接携われるのは私にとってかなり大きなチャンスだと思いました。
途上国での経験は断片的なもので長くても1ヶ月ほど滞在する程度でした。そのため、訪問した地域の慣習や言葉を学ぼうにもそんなに深く知ることは出来ませんでした。
そんな中、カンボジアで5ヶ月間も現地に張り付いて生活しながら働けるという環境は、現地の事を深く知るチャンスであるとともに、自分が本当に途上国農村部に貢献することを生涯掛けて捧げられるかの確認の機会にもなると考えました。
Q.インターン先を選んだ決め手、インターン先の事業内容、インターン先でどのような仕事を行ったかを教えてください。
児童買春を減らすために農村部において雇用を創出するというかものはしプロジェクトの事業に共感しました。そこで、かものはしの組織構造を内部から見て学び、現場でしか得られない知識やスキルを身に着けたいと考えました。
現在では130人もの女性が工房で民芸品を生産しており、農村に住みながら収入機会を得ています。女性たちの出席率が安定してきたため、生産性の向上や農業による生計向上プロジェクトに注力出来るようになりました。また、工房で生産した民芸品をお土産市場にある直営店で販売しているので、その販売管理やサービス向上に重点を置く部門もあります。
その中で私が行った仕事はシステム構築と導入です。例えば、直営店での民芸品販売を管理するバーコードシステムや、女性たちが生産した商品の生産数や生産時間を管理するシステムの構築と導入を行いました。
Q.インターンをしていて、面白かったことや、やりがいを感じたことを教えてください。
人を動かすことの難しさを痛感し、実際に動かせたときにやりがいを感じました。
いくつかのシステムを手掛けていたので、、様々なカンボジア人スタッフと一緒に働きました。システムの構築は一人で出来るのですが、導入に関しては使用者も巻き込んで仕事をしなければなりません。そんな中、どのように使用者をモチベートすれば積極的にシステムを理解し、使用してもらるかについて悩む事が多々ありました。
色んな人にアドバイスを乞い、それらを参考にして実践する事で人を動かせた時はとてもうれしく、自分でも「文化の違う人を動かすことが出来るんだ」という自信に繋がりました。
Q.インターンで辛かったこと、悔しかったことを教えてください。
長い時間を掛けて構築したシステムが実際には使われていなかった事です。構築前に必要とするシステムの機能や画面を使用者とともに洗い出しました。そのシステムを構築するために、ほぼ独学で四苦八苦しながらパソコンと格闘しました。苦労して構築したにもかかわらず、「使い難い」や「問題が多発する」という理由ですんなりと受け入れてもらえなかった事がありました。
システムを構築するだけでもかなりの労力が必要で、ストレスの溜まる作業であっただけに協力的にシステムを使用してもらえなかった事は本当に辛かったです。しかし、相手が協力的でないと言う他責の精神ではまったく前に進まないという事は感じていました。そのため、システム完成後は使用してもらう「仕組みづくり」に注力する事で、使用者を動かしシステム導入まで完了する事が出来ました。
Q.インターンを通して得たものは何ですか?
「現地に溶け込んで生活して働けるという自信」と「農村部に住む人たちに貢献したいという強いエネルギー」です。
インターンは5ヶ月間と言う限られた時間でしたが、現地の人たちと母国語でコミュニケーションをとりたいという思いから積極的に現地語であるクメール語を学びました。
クメール語を少しでも話せることは、生産管理システムを導入するときにかなり役に立ちました。なぜなら、工房で働く女性たちはクメール語しか話すことは出来ません。そして、彼女たちもシステム使用者の一人であったため、使用状況を確認して改善点を見つけるためには使用者の感想や話を聞く必要がありました。そこで、片言ではありましたが可能な限り通訳なしで彼女たちの本当の思いを聞くためにコミュニケーションを取りました。
その結果、システム使用において使い難い点や発生した問題を素早く発見でき、対処する事でより使い易いシステム構築に繋げられました。この経験は、途上国農村部において現地の人たちと直接コミュニケーションを取りながら、お互いにメリットを生めるようなビジネスモデルを構築する際に役立つと考えます。また、農村部に訪問して多くの人と交流する中で、人の「やさしさ」や「純粋さ」に触れることができ、そして、農村部の人たちとと一緒に働く中で、彼らの抱える問題を解決していきたいと改めて強く思いました。
Q.将来ビジョンや問題意識に対してインターンが与えた影響やもたらした変化は何ですか?
「起業するためにはまず早く起業するべきだ」という共同代表の青木に言われた言葉です。
実際に起業している方が発する言葉ほど説得力の強いものはありませんでした。本当に途上国農村部に貢献できる人物になりたいのであれば、少しでも早く起業して実力をつけたいと思うようになりました。目標は2年以内で売りたいと思う商材を売れるスキルを身に着けて起業の道に進みたいと考えています。そして多くの人や企業に共感してもらい、協力を仰ぐことで日本と途上国農村部に貢献できる人物になりたいと思います。
Q.これから内定後のインターンを考えている人にメッセージをお願いします。
内定後、卒業旅行や一人旅で海外旅行に行こうと思っている人は多くいると思います。しかし、短期的な滞在だとそれぞれの国の一部分しか知れず、その国の実情とは程遠い見せ物としての観光名所しか巡れないと思います。一方で海外でのインターンは、業務を通して経験も積める、かつ、滞在先の国についての文化・慣習・人を深く知れるチャンスだと思います。
それは、社会に出てグローバルで活躍したい人はもちろんのこと、日本で働く人にとってもその国の人や慣習という比較対象が出来るため、より広い視野で物事を捉えられるようになると思います。海外で長期滞在しながら働ける機会は駐在でもしない限り、滅多に出来ないと思いますのでぜひ一度は経験して欲しです。私がカンボジアで感じたことや経験した詳しい事柄については、ブログでも綴っていますので、興味のある方は覗いてみて下さい。